「映画太陽の子」黒崎博監督スペシャルインタビュー!~ロケ支援20年目突入スペシャル企画~第5回

2022/4/11

俳優柳楽優弥さんの印象

茨城 茨城ロケに来てくださった俳優さんの印象や現場でされたお話を教えてください。

黒崎 柳楽優弥さんは、難しいですね、どう言えばいいのかな。なんか抽象的過ぎるかもしれないですけれど、自分の俳優としてのバイオリズムと、ロケ現場で太陽がずっと動いてって、この時間にこれを取るっていうことのバイオリズムが、ぴったりはまるのをずっと計っていたなっていう気がします。うまく言えないですね。ただやっぱり、いつでも「ヨーイ、スタート」で「はいっ!」とかじゃなくて、自分の集中力をずっとロケ現場で高めてって、我々が日の光も見ながら「よし、この瞬間に本番で撮ろう」って言ったら、ピタッとテンションを持っていけるようにしてくれていました。

 怖い顔してじっと待っているわけではなく、くだらない話もお互いにしながら待っていたりするんだけど、ずっと意識の中では「よし、そろそろ何かここでギアが入るんだ」みたいな感覚を持っていたんじゃないかなって。そう思っているように感じた。それがすごいなと思いました。

 

人類が初めて手にしたエネルギー

茨城 今回映画の冒頭のシーンが久野陶園さんの釜からの火が見えるシーンでした。このシーンを最初に持ってきた理由を教えてください。

黒崎 はい、炎っていうのは映画の中ですごく大切に撮ろうと初めから思っていたんですよね。

 最初に「火で始まって」、最後は「火に終わる」わけですけど、彼らが研究していることとは少し違うけれど、火はエネルギーの象徴だし、もっと言うと自然現象としての物理現象としてのエネルギーという意味だけじゃなくて、人間が生きていくっていう意味とか人間が死んでいくっていう意味とか、心の中の情熱とか、色々な意味を人は無意識に連想していると思うんですよ。だからそういう意味で色々なところで出てくる大きな炎や小さな炎も大切に撮らなきゃいけないなって思っていました。

とにかく釜の炎から始まりたいって思ったのと、窯から出てくる炎のエネルギー、あのすごい高温の炎は科学をテーマにした映画的に言うと、 「人類が初めて手にしたエネルギー」なんですよね、きっと。

だからそんないろんな意味を込めて、大切に撮りたいなと思っていました。

 

オーガニックな音

茨城 冒頭の火の音や劇中の様々な音、色がとても作品に深みを与えているなと感動したのですが、今回作品全体でこだわったところと茨城でのロケ(久野陶園と筑波海軍航空隊記念館)で特に音や色にこだわったところ、またその意味や伝えたいことがあれば教えていただけますか?

黒崎 色の話はさっき話しましたが、色も生き生きしている色や美しい色がたくさん欲しいって思っていたのと同じように、音もこれはアメリカのプロデューサーの森さんから教えてもらった単語なんですけど、「オーガニック」っていう言葉があるじゃないですか。一方だとダイエット的なイメージがありますけど、「自然本来の」、「もともとある」っていうような意味の単語らしくて。

 だからだから窯のシーンもそうだったんですが、自然の音に実は満ちているんですね。海のシーンも山のシーンも、たくさんの自然の音であふれていて、きっと現代の日本よりは70何年前の日本の方がもっと自然の音に満ちていたはずで、それは風が木にあたってざわざわする音もあるし、鳥が鳴いている音も水の音もたくさんオーガニックな音がこの映画には必要だと思ったんです。          

 だからそこを意識的に考えて、音を一緒に作ってくれたマットヴォウレスさん(映画「アリー/スター誕生」等を手掛けたサウンドデザイン担当)というアメリカのスタッフとも「オーガニック」の音を大切にすることをたくさん話して作りました。

茨城 実際にロケ現場以外で収録した音もあるのですか?

黒崎 そうですね、ロケ現場でお芝居をしているときに撮った音もあればお芝居をしてない時にロケ現場で録音部さん(音声を担当している部署のスタッフ)がいろんな音を録ってくれています。スタッフがいない時にね。スタッフがいると音が録れないから。

必ずそのスタッフがいなくなってからとか、スタッフが来る前とか、別の日とかに録らせてもらって、窯の炎の音もね。そういう音って後で大切に使うために現場で録っています。もちろんそれ以外にも効果音として沢山ストックがあるので、そういうものを足したところもいっぱいありますし、そんなふうにして作っています。音楽も含めて音で決まっちゃいますもんね、見ている人の感情が。

 

第6回に続く・・・

 

 

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